売上アップの基本:売上目標の立て方と逆算思考のコツ
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週火曜日に、経営者なら知っておきたい「売上増加」についての知識を解説しています。
今、多くの企業が販売促進に取り組んでいますが、その多くは期待した成果を上げられていません。
その主な理由は、「感覚的な施策の選択」と「場当たり的な実行」にあります。
本記事では、効果的な販売促進のための、売上目標の立て方と逆算思考のコツについて解説していきます。
なぜ逆算型の計画が必要なのか
多くの小売店では「売上を上げたい」という漠然とした目標を立てがちです。
しかし、この考え方では具体的な行動に結びつきにくく、結果として成果も出にくいものです。
そこで重要になってくるのが「逆算型の計画」です。これは、達成すべき売上目標から逆算して、必要な施策を組み立てていく方法です。
この方法には以下のようなメリットがあります:
- 具体的な数値目標が明確になる
- 必要な施策が見えやすくなる
- スタッフと目標が共有しやすい
- 進捗管理がしやすい
現実的な売上目標の立て方
では、具体的にどう目標を立てればよいのでしょうか。長年の経験から、以下の3ステップをお勧めしています。
1. 年間売上目標を決める
まずは率直にお伝えしましょう。昨対110%程度が、多くの企業で現実的な目標値です。なぜでしょうか。
- 社員のモチベーションを維持できる数字
- 具体的な施策が立てやすい
- 予算の組み立ても現実的
例えば、昨年売上3,000万円の場合、まずは3,300万円を目指してみましょう。
2. 季節指数で月別の波を把握する
「うちは12月が稼ぎ時なんです」 「夏場は正直厳しくて…」
こんな声、よく聞きますよね。この売上の波を数字で見える化するのが「季節指数」です。計算方法は簡単です。
季節指数 = (月別の売上 ÷ 年間売上) × 100
例えば、年商3,000万円の場合: 12月の売上が330万円なら、季節指数は11.0% 2月の売上が205万円なら、季節指数は6.8%
この数字を見れば、繁忙期と閑散期がはっきりします。販促予算も、この波に合わせて重点配分していきましょう。
3. 月別の目標を現実的に設定する
年間目標3,300万円、12月の季節指数が11.0%なら:
3,300万円 × 11.0% = 363万円
が12月の目標額になります。
成功のためのアドバイス
私が特に強調しているのが、以下の3点です:
- 無理な目標は立てない
- 社員が「やれそう」と思える数字に
- 必要に応じて、段階的な引き上げを
- 社員と共有する
- 具体的な数字があれば、行動も明確に
- 毎月の振り返りで軌道修正
- 柔軟に見直す
- 3ヶ月ごとの確認がベスト
- 必要に応じて施策を追加・修正
おわりに
「目標は高く」という言葉がありますが、現実的な目標設定こそが、着実な成長への第一歩です。
まずは、ご自身の会社の季節指数を計算してみてはいかがでしょうか。必ず新しい発見があるはずです。
次回は、この目標を確実に達成するための「売上予測の方法」について、実例を交えながらご紹介していきます。