短期策ではなく未来への投資!成長を加速させる新規顧客獲得ガイド

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週火曜日に、経営者なら知っておきたい「売上増加」についての知識を解説しています。

「新規顧客を増やしたい」「集客に力を入れたい」という声は、多くの中小企業の経営者からよく聞きます。

しかし、新規客の獲得は“今すぐの売上”を増やす手段ではなく、「将来に向けた投資」である点をまず理解しておくことが大切です。

今月・来月の売上が厳しいからといって、新規開拓に費用をかけてしまうと、かえって資金繰りを圧迫するリスクが生じます。
では、どのように“正しいタイミング”で新規客の獲得に取り組めばいいのか。

本記事では、新規客獲得についての具体的な数字の考え方や、効果を最大化するためのポイントを解説していきます。

新規を獲得する前に押さえるべき「売上公式」と優先順位

中小企業の売上を伸ばすためには、次の公式を意識すると分かりやすいです。

売上 = 客数 × 客単価 × リピート回数(来店・購入回数)

新規客の獲得は上記の「客数」を増やす施策ですが、実は「客単価アップ」や「リピート対策」よりも後に取り組む方が、費用対効果が高まりやすいのです。

なぜなら、新規集客には広告や販促などのコストがかかるうえ、獲得したお客様が何度も利用してくれなければ、投資を回収できません。

  • リピート率アップ
    一度来店・購入してくれたお客様が定期的に利用してくれる仕組みづくり
  • 客単価アップ
    来店・購入時の平均金額を上げる施策(セット販売、上位プランの提案など)

この2つによって「1人のお客様の価値」=LTV(ライフタイムバリュー) をしっかり高めた上で、広告費の回収が見込める状態を作ってから新規客獲得に本格的に投資する。

これこそが最も効率的な流れです。必ずこの順番は守るようにしましょう。

CPAとLTVを理解する:広告費は「費用対効果」がすべて

新規顧客獲得に必要な2大指標がCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得コスト)と、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)です。

  • CPA(顧客獲得コスト)
    1人のお客様を獲得するためにかかった広告費
    例)20万円の広告費→新規100名獲得=CPAは2,000円
  • LTV(顧客生涯価値)
    ある一定期間で、お客様1人がどれだけ購入してくれるかの合計金額

なぜCPAとLTVを同時に見る必要があるのか?

  • CPAの方がLTVより低ければ
    獲得すればするほどお店はプラス(=儲かるビジネス)
  • CPAがLTVを上回っていると
    お客様を呼べば呼ぶほど赤字(=悪いビジネス)

たとえば、\1万円かけて獲得した新規客が、初回で\9,000しか買わなければ赤字です。

一方、\1万円かけて獲得した新規客が、初回で\11,000以上買ってくれればプラスになります。

また、LTVは「1ヶ月で計算するのか、3ヶ月で計算するのか」で大きく数値が変わります。

期間が長いほどトータルの購入額は増え、広告費を十分に回収できる可能性が高まります。
ただし、期間が長いほど投資回収のスパンも長くなり、資金繰りが厳しい場合にはその間の赤字をカバーできないケースもあります。

ここを見誤ると、せっかく獲得したお客様を育てきれずに資金不足に陥ってしまうため、会社のキャッシュ状況を踏まえてLTV期間を設定することが重要です。

新規客獲得で最も重要なのは「良い広告を、できるだけ多くの人に見せる」こと

新規客を増やすための原理原則はシンプルです。

1. 良い広告を作る
2. その広告を、できるだけ多くの人に見せる

ここでいう「良い広告」とは、お店側の商品やオファーを“正しく”伝え、行動(来店・問い合わせ・購入)を促すものを指します。

競合分析:ライバルが「どこで何をいくらで売っているか」を調べる

中小企業では、大きな予算をかけて広告媒体を一から試すのはリスクが高いことが多いです。

そこで、まずは競合が出している媒体を確認しましょう。

  1. 競合が広告で売っている「集客商品」
    • チラシやフリーペーパーなどで、どの商品・サービスを前面に出しているか
  2. 競合が広告を載せている媒体
    • 新聞折り込み、Web広告、情報誌、ポータルサイトなど
  3. 競合のオファー(取引条件)や価格
    • 期間限定の割引や特典はあるか
    • クーポン内容や割引率はどうか

「同じ商品・同じ媒体・競合より強いオファー」を作れば、当然お客様は自社を選んでくれます。

「同じ広告費を使うならば、競合客を自社へ取り込む」ことにフォーカスすれば、高い費用対効果を得やすいのです。

「制約率」を上げる3つの要素:オファー・CTA・期限

新規客を増やすには、見込み客が「広告を見て→来店・問い合わせ・購入」といったアクションを起こす確率、すなわち制約率を高めなければなりません。

しかし、広告が届いていても、“買わない理由”が残っているとお客様は行動に移してくれません。

ここで、制約率を下げてしまう3大要因として、次のポイントが挙げられます。

  1. オファー(Offer)がない
  2. CTA(Call To Action:行動喚起)がない
  3. 期限(締め切り)がない

まずは、この3つがそろっていない場合にどんな問題が起きるのか、そしてどのように改善できるのかを確認してみましょう。

1. オファー(Offer)の重要性

オファーとは「取引条件」のすべてを意味し、以下のような要素が含まれます。

  • メイン商品(サービス)の内容
  • 価格設定
  • 特典(ノベルティ・キャンペーン景品など)
  • 保証(返金保証・成果保証など)
  • デリバリー方法(配送・持ち帰り・訪問など)

単に「商品+価格」を提示するだけでは、「なぜ今買うべきなのか」が十分に伝わらず、購買意欲を高めるのは難しいものです。

そこで、割引・特典・保証などを組み合わせ、「価格以上の魅力」を感じさせることが大切です。

こうした“オファー”を工夫することで、お客様に「今買わないと損するかも」と思ってもらいやすくなります。

当社では数多くの現場支援と検証を通じて、効果実証済みのオファーテンプレートを使って、クライアント企業の状況に合わせて最適なパターンをご提案しています。

このテンプレートは業種・業態を問わず応用が可能で、実際に多くの企業や店舗で“売上アップ”に直結する結果を得ています。

オファー作りのポイントは、自社のサービス特性に合わせた組み合わせで、「他社の広告と並んでも明らかにお得だ」と感じさせることです。

オファーを工夫し、「買わない理由」を一つずつ取り除いてあげることで、新規客だけでなくリピーターの増加にも貢献します。

2. CTA(行動喚起)を明確にする

広告を見たお客様が「具体的に何をすればいいのか」が明確に書かれていないと、行動には移してくれません。

テレビショッピングでよくある「今すぐお電話ください」「この番号にお電話いただければ特別サービスを~」などは、まさに行動喚起(CTA)の好例です。

  • 店舗向けの主なCTA例
    • 「今すぐお電話ください」
    • 「下記のURLからご予約ください」
    • 「このチラシを持参してご来店ください」
    • 「まずは無料相談にお申し込みください」

ポイント

  • とにかく大きく・目立つように配置する
  • 広告の最後ではなく、“欲しくなったタイミング”の近くにも置く(見込み客の視線が止まった場所にCTAを設置するイメージ)
  • 具体的なタイミング・手段を提示する(「○月○日まで」「本日○時~○時ならお電話OK」など)

「何をしていいのか分からない」「いつでもいいか」と考えられる余地があると、行動が後回しになってしまいます。具体的に、今すぐ行動してもらう導線を作りましょう。

3. 期限(締め切り)をつける

人は**「あとで考えよう」と先延ばしにする**傾向があります。

そのまま忘れられ、結果的に一度も来店・購入されないケースは少なくありません。

そこで、明確な期限を設けることで「急がないと損」という心理を働かせます。

「〇月〇日までにお申し込みの方限定」

といった期限をはっきり提示することで、「今すぐ行動しないと損をする」という心理を働かせます。

テレビショッピングが「今から30分以内」にこだわるのも、“後回しにされたらもう二度と買われない”ことを知っているからです。

ステップレター(3ステップレター)の活用

1回だけチラシを送るよりも、同じ相手に複数回アプローチしたほうが制約率が高くなることは多々あります。

特に、

  • 「あと30日」
  • 「あと20日」
  • 「あと10日」

のようにカウントダウン形式で期限を知らせると、「そろそろ行こう」と思ってもらいやすくなります。

広く1回だけ打つよりも、絞ったエリアや顧客リストに対し3回送るほうが結果に繋がるケースは多いので、ぜひ検討してみてください。

まとめ:新規顧客獲得は“投資対効果”を最大化してこそ

ここまで、新規顧客獲得に取り組むうえで大切なポイントをご説明してきました。

ここからは、要点をもう一度整理し、実際に行動へ移す際に意識すべきことを確認してみましょう。

  1. 新規獲得は“今”の売上改善策ではなく“未来”への投資
    • 資金が厳しい中で無理な広告費を使うと、逆に利益を圧迫してしまう
    • まずは「リピート対策」と「客単価アップ」でLTVを高め、安定的に回収できるビジネス基盤を作る
  2. CPA(顧客獲得コスト)とLTV(顧客生涯価値)を把握する
    • 「1人を獲得するのにいくらかかるか」
    • 「1人のお客様がどれくらい買ってくれるか」
    • これらを数値化しなければ、そもそも投資判断ができない
  3. 競合をしっかり分析し、“同じ媒体で他社より強いオファー”を出す
    • 競合がすでに広告を出している媒体は、見込み客が集まりやすいということ
    • 同じ商品・サービスをよりお得に見せれば、競合のお客様が自社に流れる
  4. 制約率UPのカギは「オファー・CTA・期限」
    • オファーで「今買わないと損」と思わせる
    • CTAで「すぐ行動に移せる」明確な道筋をつくる
    • 期限で後回しにされるリスクを減らす

新規客獲得のためには、広告やチラシをいきなり増やすよりも、まずは「既存の販促物の見直し」を行い、制約率を改善することが近道です。

そこに今回ご紹介した「オファーづくり」や「CTA」、「期限設定」を組み合わせるだけで、驚くほど成果が変わります。

これらを見直すだけでも、広告予算を増やさずに新規獲得数を上げられる可能性があります。ぜひトライしてみてください。

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