銀行融資の攻略法:金融庁が促進する地銀再編と資金調達

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週金曜日に、経営者なら知っておきたい「銀行融資」についての知識を解説しています。

昭和から平成にかけて1000行以上あった銀行は、現在では約500行にまで減少しました。

金融庁は、さらなる再編を促進しており、今後10年以内に3~4割の銀行が統合されると予測されています。

かつてバブル崩壊後、新日本銀行や日本長期信用銀行など一部のメガバンクも経営破綻しましたが、地方銀行は公的資金による下支えもあり、比較的安定した経営を維持してきました。

しかし、少子高齢化の進展により、企業数は平成元年の約530万社から現在の381万社まで減少。この状況を踏まえ、金融庁は地方銀行に対して積極的な経営統合を求めています。

1. メガ地銀誕生による影響

1-1. 個人顧客への影響

店舗数の増加により利便性は向上する可能性がありますが、郵便局のような細かなネットワークには及びません。

特に地方部では、「歩いていける距離」という観点で、郵便局や農協が依然として強みを持っています。

1-2. 法人顧客への影響

最も懸念されるのは「チャンスロス」の問題です。

これまで2つの銀行と取引があれば2回の融資申込機会がありましたが、統合後は1回のみとなります。

さらに、同一グループとしての融資枠制限により、資金調達の機会が実質的に減少する可能性があります。

2. 地銀経営の将来予測

現在のマイナス金利政策が継続した場合、4年後には約4行、6年後には26行の地方銀行が赤字に転落すると予測されています。

愛知銀行、名古屋銀行、中京銀行、富山銀行などが再編の対象として取り沙汰されています。

2-1. 収益構造の変化

従来、銀行は預金の約7割を融資に回し、その利ざやで収益を上げてきました。しかし、マイナス金利下ではこの基本的な収益モデルが機能しなくなっています。

そのため、投資信託や保険商品の販売に注力する銀行が増加していますが、金融庁はフィデューシャリーデューティー(顧客本位の業務運営)の観点から、これらの販売手法にも厳しい目を向けています。

3. 中小企業の実務的対応

メインバンクとの関係強化

定期的な業況報告や経営課題の共有を通じて、信頼関係を構築することが重要です。

財務体質の改善

自己資本比率の向上や収益性の改善など、財務内容の健全化が不可欠です。

銀行は社会インフラの一部であり、その経営破綻は信用不安を引き起こし、国民経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

金融庁が地銀再編を促進する背景には、このような事態を未然に防ぎたいという意図があります。

中小企業経営者は、このような金融環境の変化を十分に理解し、従来以上に慎重な資金計画と銀行取引戦略を立てることが求められています。

特に、決算内容の改善や事業計画の精緻化など、融資審査で重視される要素への対応を強化することが重要です。

4. 今後の展望

地銀再編の波は、今後さらに加速することが予想されます。

中小企業は、メインバンクの動向を注視しつつ、複数の調達手段を確保することで、安定的な資金繰りを維持することが重要です。

また、事業の収益性向上や財務体質の強化にも継続的に取り組み、金融機関にとって魅力的な取引先となることを目指すべきでしょう。

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