中小企業経営者の「やる気が出ない時」を業務効率アップに繋げる方法

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週木曜日に、経営者なら知っておきたい「業務効率」についての知識を解説しています。
中小企業の経営者として日々業務をこなしていると、どうしても「やる気が出ない日」が存在することを痛感します。
どんなに優秀といわれる経営者であっても、完璧にモチベーションをコントロールするのは至難の業です。
それでも業績を伸ばし続けている経営者に共通しているのは、「モチベーションの波をなだめつつ、効率を下げない仕組み」を持っていることだと感じています。
本記事では、私自身が中小企業の経営とコンサルティングの現場で培ってきた「モチベーションが下がった時の対処法」についてご紹介します。
いずれの方法も、実際に私が日々実践し、クライアントにも推奨しているものです。
業務の効率化はシステムや仕組みだけでなく、「人」である私たち自身のコンディションが大きく影響します。
ぜひ今回お伝えする方法を、自分なりにアレンジして活用してみてください。
経営者も「やる気が出ない日」がある
中小企業の経営者に対しては、常に先頭に立ち、困難を乗り越え、従業員をリードする存在であることが期待されがちです。
しかしながら、私自身も「今日はどうしても集中できない」「重要な案件に取り組む気力が湧かない」と感じることが多々あります。
周囲からは「経営者は常にやる気に満ちているはず」と思われるかもしれませんが、実情はまったく違います。
私が多くの経営者と関わる中で感じたのは、「どれほど成果を上げている経営者でも、モチベーション管理に悩みを抱えている」という事実です。
これを逆に捉えれば、モチベーションが下がること自体は決して特別なことではなく、誰にでも起こり得る自然な現象だと言えます。
大切なのは、「モチベーション低下のまま業務を停滞させない」方法を見出すことです。
環境を変えて脳をリセットする
モチベーションが低下した時に、私がまず実践するのは「仕事をする場所」を変えることです。
単純にオフィスのデスクだけで作業を続けるのではなく、自宅やカフェなど、複数の作業スペースを用意するのです。
これは脳に対して「新しい場所=新しい行動パターン」を刷り込む効果があります。
カフェをハシゴしながらの通勤ルート
私の具体的な事例として、オフィスまでの通勤路を意図的に複数のカフェを経由できるルートにしています。
自宅で少しメールを処理し、次のカフェに移動して資料を作り、その後さらに別のカフェで企画のアイデアを練る。
最終的にオフィスに到着する頃には、脳がすでに「仕事モード」に入っている状態になります。
継続しているうちに、特定のカフェでは企画書に集中できる、あるいは別のカフェではアイデア出しがはかどるといった“条件付け”が起きるのを感じています。
モチベーションが上がらない日でも、「このカフェに行けば不思議と仕事が進む」と自分の脳をうまく騙すことができるのです。
集中せざるを得ない状況を作る
次に私が取り入れているのは、自分を「集中せざるを得ない環境」に追い込む方法です。
モチベーションが低い時ほど、ネットサーフィンやSNSといった誘惑が気になってしまうことはないでしょうか。
そこで、あえて自分の意思だけではどうにもならない物理的制限を利用します。
Wi-Fi環境のないカフェでの作業
私がよく行うのは、ノートパソコンだけを持ってWi-Fi環境のないカフェに行くという方法です。
スマートフォンも置いていき、重要なデータはあらかじめダウンロードしておく。
するとネット接続の誘惑がありませんから、目の前の作業に集中するしかなくなります。
SNSを見たくても見られないため、必然的に仕事が進むという仕組みです。
こうした環境を意図的に作ることは、「人間は必要に迫られれば動く」という原理に沿った方法です。
私自身、特に追い込みが必要な時ほどこの方法を使い、重要な企画書や提案書を完成させてきました。
誘惑をシャットアウトする環境は、想像以上に生産性を高めてくれます。
体を動かして脳を活性化する
モチベーションがどうしても上がらない時、私は「一時的に仕事から離れる」ことも積極的に行います。
といっても、スマホや動画視聴などの受動的な行動に時間を費やすのではなく、短時間の運動や散歩を挟むのです。
運動を取り入れることで得られるメリット
具体的には、オフィス近くのジムで15分~1時間程度のトレーニングをすることが多いです。
時間が取れない時は、会議室などでストレッチやバランストレーニング、あるいは周囲を歩くくらいでも十分効果を実感できます。
ではなぜ運動が有効なのでしょうか。運動によって私が感じるメリットをまとめます。
- 頭がクリアになる
運動後はなぜか頭がすっきりし、情報処理能力が高まったり、問題解決が進んだりする感覚があります。 - ポジティブな気分の獲得
運動には達成感が伴うため、やる気や自信が戻ってきます。そのポジティブな気分が、その後の仕事全体のモチベーションに波及します。 - 生産性の向上
長時間デスクに向かい続けるより、適度に体を動かしてリフレッシュしたほうが集中力が続くのです。
このように、運動には心身のリセット効果があると考えています。
実際、私のクライアントでも、忙しいからこそ運動を取り入れることで生産性が高まったという経営者が多くいます。
「時間がない」ことを言い訳にするよりも、短い時間でも体を動かす習慣を持つほうが、結果的に仕事の効率は良くなるのです。
姿勢を変えるだけでも効果あり
さらに、モチベーション低下の原因として多くの経営者が見落としがちなのが「姿勢の固定化」です。
長時間同じ姿勢でいると、血行不良や疲労だけでなく、思考も停滞しがちになります。
私自身、長時間同じ椅子に座っていると、仕事の進み具合が極端に悪くなることがあります。
こうしたときは、一度立ち上がって電話をする、歩き回りながらアイデアを考える、別の椅子やソファで作業するなど、ちょっとした姿勢変更をするだけでも頭の働きが変わるのを感じています。
自分に合った方法を見つける重要性
長い間、中小企業の経営とコンサルティングの現場に携わり、私が強く感じるのは「モチベーション管理は個人差が大きい」という事実です。
私の場合はカフェの活用と運動が特に効果的でしたが、他の経営者の中には「お気に入りの音楽をかけるだけ」で集中できる方や、「目標の数字やビジョンを可視化するだけ」でモチベーションを取り戻す方もいます。
大切なのは、どんな環境や行動が自分のやる気を引き出すのか、逆にどのような状況だとモチベーションが下がりやすいのかという「自分のパターンを知る」ことです。
これを把握するために、私は「モチベーション管理ノート」を活用しています。
その日の体調や気分、うまくいった対処法やタイミングなどを記録しておくと、少しずつ自分に最適な方法が見えてきます。
ネガティブ思考の罠から抜け出す
モチベーションが下がる状態が長く続くと、仕事が進まないことに対する自己否定感や、不安が増幅する状態に陥ることがあります。
私も経営者として、何度もこうした悪循環に悩まされてきました。
しかし実際には、「やる気が出ない状態が長期化するほど、改善策を講じていない時間が長い」というだけのことが多いです。
ネガティブ思考にとらわれてしまうと、さらに行動が遅れ、問題が大きく見えてしまう悪循環が続きます。
だからこそ、場所を変えたり体を動かしたりすることで、思考のループを断ち切る必要があります。
ちょっとした行動の変化が、大きな思考パターンの転換につながるのです。
ネガティブ思考は放置すると広がりやすい反面、環境や姿勢の変化をきっかけに一気に好転させられる可能性を秘めています。
まとめ:今日から実践できるモチベーション管理術
ここまで、中小企業の経営者としての立場から、モチベーションが下がった時に私が実践している方法を解説してきました。
最後に、これらのポイントを改めて整理します。
- 複数の作業場所を戦略的に活用する
自宅、カフェ、オフィスなど“仕事スポット”を複数確保し、場所の変化によって脳をリセットする。
場所に応じた作業を得意分野として設定し、モチベーションをスイッチしやすくする。 - 誘惑を物理的に排除する環境を作る
Wi-Fiやスマートフォンといったデジタル環境を断つことで、集中を妨げる要素を最小限にする。
どうしても避けられない場合は、メインのツール以外はすべて電源を落とすなど対策を施す。 - 短時間の身体活動を取り入れる
15分〜1時間の運動やストレッチ、散歩などで脳をリフレッシュさせる。
忙しいほど運動を取り入れることで、結果的に業務効率を高める効果が期待できる。 - 姿勢を変えて新たな発想を得る
デスクワークが続くなら、場所や椅子を変える、立ち上がって電話をするなど、簡単なアクションから始める。
姿勢の変化は脳の活性化につながり、思考も柔軟になりやすい。 - 自分に合ったモチベーション管理法を見つける
自分が効果を実感した方法を記録し、パターンを分析する。
音楽・目標のビジュアル化・日記など、個人差が大きい要素は試行錯誤を重ねてみる。
いずれの方法も、特別に大掛かりな費用や時間を必要とするものではありません。
ちょっとした工夫と、失敗を恐れず試してみる柔軟性さえあれば、すぐに取り入れられるものばかりです。
モチベーションの波は誰にでもあります。私も経営者として、日々大小さまざまな課題に直面し、思うように気持ちが乗らない日も珍しくありません。
しかし、上記のような対策を講じることで、一時的な落ち込みを最小限に留め、大きな成果を出し続けることが可能になります。
業務効率化は、仕組みづくりやツール導入だけに留まらず、私たち自身の精神的・身体的コンディションの最適化が求められます。
自分の状態を把握し、状況に応じてアクションを変えることができれば、どんなに「やる気が出ない」日でも一定の成果を出すことができるはずです。
今日からでも実践できる方法ばかりですので、ぜひお試しください。皆さんの成功を心から応援しています。