知って得する倒産防止共済!経営者のための最新節税対策術

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週水曜日に、経営者なら知っておきたい「節税対策」についての知識を解説しています。

中小企業の経営者として、日々の業務だけでなく「税金対策」にも頭を悩ませることが多いのではないでしょうか。

専門の経理や財務担当を雇えれば理想的ですが、会社規模によっては難しく、経営者自身が自ら学び、対策を講じるケースも珍しくありません。

こうした状況下で、限られた経営資源を有効に活用し、利益を最大化するためには、制度の正しい理解と戦略的なプランニングが欠かせません。

そんなときに注目したいのが「倒産防止共済(中小企業倒産防止共済制度)」です。

一般的には「経営セーフティ共済」とも呼ばれ、取引先の倒産によるリスクに備える制度として知られています。

しかし実は、この制度を上手に活用することで、リスク対策だけでなく大きな節税効果を得ることができます。

本記事では、倒産防止共済の基本から応用まで、節税効果を最大化する活用術を具体的に解説します。

倒産防止共済とは?知っておくべき基本の「き」

倒産防止共済(正式名称:中小企業倒産防止共済制度)は、主に中小企業が取引先の倒産によって連鎖的に倒産することを防ぐための制度です。

経営者の間では「経営セーフティ共済」という呼び名でも親しまれており、万が一の資金調達手段として活用されています。

ここでは、倒産防止共済の基本的な仕組みや加入条件など、基礎となるポイントを整理して解説します。

制度の基本的な仕組み

まず大きな特徴として、取引先が倒産して売掛金の回収が困難になった場合に、積み立てた掛金の10倍(最高8,000万円)まで無担保・無保証人で借り入れができる点があります。

取引先の急な倒産は中小企業にとって死活問題になりかねませんが、倒産防止共済に加入していれば、このようなリスクに備えられるわけです。

しかし、倒産防止共済の魅力はそれだけではなく、支払った積立金が全額損金算入できるという大きなメリットがあります。

さらに、解約時に積立金が戻ってくることや、低金利での貸付制度を活用できるなどのメリットもあります。

こうした幅広い利点が、単なる「リスクヘッジ」だけでなく、「節税対策」としても高く評価されている理由です。

加入資格と条件

倒産防止共済に加入するためには、企業規模などいくつかの要件を満たす必要があります。

具体的には、次のような基準が設けられています。

  • サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
  • 小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
  • 製造業・その他:資本金3億円以下または従業員300人以下

これらに加えて、事業開始から1年以上経過していることが条件となります。

起業直後や独立して間もない段階では加入が難しいため、計画的に準備しておくことが大切です。

なお、「従業員数」や「資本金」の要件は同時にクリアする必要はなく、いずれかを満たせばOKという点も覚えておきましょう。

節税対策としての倒産防止共済の魅力

倒産防止共済は、取引先の倒産リスクを回避するだけでなく、実は強力な節税メリットをもたらします。

ここでは、特に税務戦略上どのような恩恵があるのかを具体的に見ていきましょう。

掛金の全額損金算入が可能

倒産防止共済を利用する最大の節税ポイントは、「支払った掛金の全額が損金(個人事業主の場合は必要経費)として計上できる」ことです。

一般的な保険料の場合、損金算入できるのは一部のみというケースが多いのですが、倒産防止共済では掛金の100%が経費扱いとなります。

掛金は月額5,000円から20万円の範囲で自由に設定でき、しかも5,000円単位で増減できます。

月20万円を上限として1年間続けると、最大で240万円もの経費を計上できる計算です。

中小企業にとっては、このダイレクトな節税効果が非常に魅力的だといえるでしょう。

積立金が返ってくる解約手当金制度

また、倒産防止共済の大きな利点として「解約手当金制度」があります。

これは、40か月(3年4か月)以上掛金を納めている場合に解約すると、掛金総額がほぼそのまま返ってくるという仕組みです。

つまり、節税効果を得ながら社外に資金を積み立て、最終的にはその多くを解約手当金として回収できることになります。

普通に経費を計上してしまえば、費用として出ていったお金は戻りません。

しかし倒産防止共済では、損金計上をしつつ、実質的に「将来使えるお金」として積み立てが可能となるわけです。

この二重のメリットこそ、多くの中小企業経営者が注目している理由の一つです。

貸付制度の柔軟な活用

倒産防止共済には、取引先が倒産した場合に限らず、一般的な資金需要にも対応できる貸付制度があります。

加入後12か月以上経過し、掛金の滞納がないことを条件に利用可能で、掛金総額の95%(最大800万円積み立てている場合は760万円)まで借り入れができます。

金利は年0.9%とかなり低く、借り入れ目的に特に制限がないため、設備投資や運転資金、あるいは他の投資へ回すなど、多様な使い方ができるのも魅力です。

倒産防止共済を最大限活用する具体的戦略

ここからは、倒産防止共済を単なる保険や節税手段としてとどめるのではなく、中長期的な経営戦略の一部として最大限に活用する方法をご紹介します。

年払い切替による節税枠の拡大

まず注目したいのが「年払い切替」を活用する方法です。

通常は、1か月あたり最大20万円の掛金を支払うため、1年間で最大240万円が損金算入の上限となります。

しかし、年度末に翌年度分をまとめて支払う「年払い」に切り替えると、一時的により大きな額を損金算入できる可能性があります。

具体例として、事業年度の初月から月額20万円で掛金を支払い、年度末に翌年度分も一括で支払ったとしましょう。

すると、その年度だけで460万円ほどを損金計上することが可能です。

これは、年度末に急に大きな利益が出そうな場合など、「一時的に多くの費用を計上したい」ときに非常に有効です。

ただし、翌年分を前倒しで支払っているため、次の年度では新たに損金計上できる掛金が減る(あるいはない)という点に注意が必要です。

そのため、利益の変動が激しい年にスポット的に活用するなど、戦略的な判断が求められます。

貸付制度の戦略的活用法

倒産防止共済の貸付制度は金利が低く、使途制限がないため、資金繰りや資産形成など幅広い場面で活用できます。

以下では、具体的な活用例を3つ挙げます。まずはそれぞれのポイントを把握しましょう。

  1. 事業拡大・設備投資への活用
    低金利で借り入れできるため、事業拡大や設備投資の資金に充てることが可能です。
    補助金や助成金を活用する場合、先に支出が必要になるケースが多いため、その“つなぎ資金”として利用するのも効果的です。
  2. 掛金への再投資
    貸付制度で借りた資金を、そのまま倒産防止共済の掛金として支払う手法です。
    借り入れたお金で多額の掛金を損金計上できるため、自己資金をあまり減らさずに節税効果を高められます。
    借入期間は1年ですが、「借り替え」や「増額借り替え」を活用すれば、利息分の支払いのみで借入期間を継続できたり、新たに多額の借入を行うことも可能です。
  3. 資産運用への活用
    使途自由の借入金という特性を生かし、資産運用に回すことも考えられます。
    借入金の利息が年0.9%に対し、より高い利回りが期待できる商品に投資できれば、差益を狙うことも可能です。
    ただし、元本割れのリスクがある商品を選ぶと、返済時に損失を被るおそれがあります。
    資産運用での活用を考える場合は、慎重な判断が必要です。

上記のように多角的に貸付制度を利用できるのは、倒産防止共済の大きな魅力です。

借り入れを検討する際は、今後の事業計画や資金状況、リスク許容度などを踏まえて計画的に利用しましょう。

倒産防止共済の注意点と落とし穴

メリットの多い倒産防止共済ですが、制度を知らずに利用すると思わぬタイミングで税負担が増えてしまうなどのリスクもあります。

ここでは、失敗を避けるために押さえておきたいポイントを解説します。

解約時期による元本割れリスク

倒産防止共済には大きく分けて「任意解約」「みなし解約」「機構解約」の3種類がありますが、解約の理由やタイミングによって返戻率が異なる点に注意しましょう。

納付月数が12か月未満の場合は返戻率が0%となり、支払った掛金がまるごと戻ってこなくなるケースもあります。

また、任意解約でも40か月(3年4か月)未満の加入期間だと元本割れする可能性が高いです。

せっかく節税しながら積み立てたお金を損しないためにも、最低でも40か月は続けるという長期的な視点で取り組むことが重要です。

取引先倒産時の借入れに関する誤解

倒産防止共済では、取引先が倒産した場合に借入ができるとされていますが、「無利子」だと誤解されることがあります。

実際には貸付金額の10%が掛金から控除されるため、完全な無利子とはいえません。

たとえば、掛金が800万円積み立てられている状態で5,000万円を借りた場合、貸付実行時に500万円(5,000万円の10%)が掛金残高から控除されます。

将来的に解約して返ってくる解約手当金も、この減少後の金額が基準となるため、実質的にコストが発生する点は理解しておく必要があります。

解約手当金の課税問題

解約手当金を受け取ると、法人の場合は「雑収入」に計上されるため、その年度の益金が増えることになります。

掛金の支払い時には節税効果があったとしても、解約時に一度に多額の収入が発生すると、結果的に法人税が高くなるおそれがあります。

このような事態を回避するために、次のような対策を検討するとよいでしょう。

  • 赤字が出ている年度に解約して、益金と相殺する
  • 役員退職金や大きな設備投資がある年度に解約し、支出とバランスをとる
  • 解約時期を複数年度に分散し、一度に大きな益金が生じないようにする

これらの対策を計画的に行うことで、解約による急激な税負担の増加を和らげることができます。

再加入時の損金算入制限

短期的な加入と解約を繰り返して節税だけを狙うことを防ぐため、倒産防止共済を解約してから2年以内に再加入した場合、掛金を損金に計上できない仕組みになっています。

再度の加入で損金算入できるのは、解約日から2年が経過した後になるのです。これは令和6年度(2024年度)の税制改正で変更された部分なので、注意が必要です。

とはいえ、2年以内に再加入してしまっても、最低限の掛金(月額5,000円など)を払い続ければ「加入期間自体」は進みます。

2年が経過した時点で掛金額を増やすことで、その後の解約手当金を少しでも早く受け取ることが可能です。

ただし節税効果は一時的に薄れるため、計画的にスケジュールを組む必要があります。

倒産防止共済を活用した実践的節税プランニング

ここまでご紹介したとおり、倒産防止共済は中小企業の経営において多角的に活用できる制度です。

では実際に、どのように自社のプランに組み込めばよいのでしょうか。

以下のステップを参考に、戦略的なプランニングを行ってみてください。

ステップ1:自社の経営状況と税負担の把握

まずは自社の決算書や試算表をしっかりと確認し、現在の税負担と近い将来の収支見込みを把握しましょう。

急に利益が増えそうな年度や、大型の設備投資が予定されている年度などがあれば、そのタイミングで倒産防止共済の掛金を増やす・年払いに切り替えるなどの対策が有効になります。

この段階で税理士や財務アドバイザーに相談することで、より精度の高いシミュレーションが可能となるでしょう。

ステップ2:長期的な資金計画に基づく活用プラン作成

倒産防止共済は最低でも40か月以上利用することが望ましいため、3年から5年程度の長期的視点でプランを立てます。

以下のポイントを考慮しながら、加入・掛金変更・解約のタイミングを整理しましょう。

  • 掛金の月額(5,000円~20万円)の設定と変更の時期
  • 年払いへの切り替えタイミング
  • 貸付制度の具体的な活用計画(借入時期・借入額・返済計画など)
  • 解約の時期と解約手当金の使い道

上手にスケジュールを組むことで、節税効果を高めつつ、必要なときに資金を確保できる体制を築けます。

ステップ3:専門家との定期的な見直し

税制は頻繁に改正が行われるほか、経営環境も年々変化します。

そのため、倒産防止共済の活用方法も定期的に見直すことが欠かせません。

特に次のようなタイミングでは、税理士などの専門家と相談し、最新の情報をもとに最適な戦略を再構築することが重要です。

  • 決算期前後
  • 新規事業の立ち上げや大きな事業拡大を計画しているとき
  • 業績が急激に好転・悪化した場合
  • 税制改正や経済情勢に大きな変化があった場合

継続的なメンテナンスを行いながら、自社に合った最適な倒産防止共済の利用方法を模索していきましょう。

まとめ:倒産防止共済を賢く活用するために

倒産防止共済は、掛金の全額損金算入や解約手当金の返還など、他の制度にはないメリットを備えた優れた節税ツールでもあります。

長期的に考えれば、掛金を積み立てながら資金を準備できるうえ、貸付制度を利用することで低金利で自由度の高い資金調達が可能です。

ただし、解約タイミングを誤ったり、再加入時の制限を把握していなかったりすると、思わぬ損失や税負担の増大を招くリスクもあります。

倒産防止共済を最大限に活用するには、以下のポイントを常に意識しましょう。

  • 最低40か月以上の長期利用を前提に計画を立てる
  • 年払いの活用や掛金の増減など、利益状況に合わせて柔軟に調整する
  • 貸付制度を事業拡大や設備投資、資産運用など多目的に活用する
  • 解約手当金の課税に備えて、解約時期やタイミングを慎重に選ぶ
  • 税理士など専門家のアドバイスを受け、定期的にプランを見直す

特に、経営環境や税制改正は予測不能な部分もあるため、「決算前に急に利益が出てしまった」「新規事業に思ったより投資が必要になった」というような局面にも対応できるよう、日頃から柔軟な計画を立てておくことが大切です。

倒産防止共済を「リスク対策」と「節税対策」の両面で位置づければ、自社の経営基盤を一層強固にすると同時に、将来に向けた投資の選択肢も広げることができます。

ぜひこの制度を賢く取り入れ、持続的な成長と財務の安定を図ってみてください。

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