チャットツールの選び方 ~目的に応じた最適な選択と運用方法~
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週木曜日に、経営者なら知っておきたい「業務効率」についての知識を解説しています。
新しいツールやサービスを導入する際、「話題のツールだから」「新しいから」という理由で選択してしまいがちです。
しかし、実際に様々なビジネスチャットツールを検証してみた結果、必ずしも最新のツールが最適とは限らないことがわかりました。
本記事では、実際の使用経験に基づき、主要なビジネスチャットツールの特徴と、企業規模や業態に応じた選び方をご紹介します。
情報のやり取りの本質を考える
ビジネスにおける情報のやり取りは、主に2つの要素から成り立っています:
- 情報のやり取り
- メールやビジネスチャットでの連絡
- 各種書類や資料の共有
- 依頼事項の管理
- タスクの割り当て
- 進捗管理
これらを効率的に進めるために、様々なツールを実際に使用・検証してきました。
以下、主要なツールについて、その特徴と実際の使用感をご紹介します。
Gmail + Hangoutの組み合わせ
長年様々なツールを試してきた結果、最も使い勝手が良いと実感しているのが、GmailとHangoutの組み合わせです。
一見シンプルな印象を受けるかもしれませんが、以下のような特徴が、実際の業務で大きな価値を発揮しています:
- 情報管理の確実性
- スレッド形式での一覧表示
- メールとチャットの統合検索
- 履歴の完全保存
- コミュニケーションの円滑化
- メールの形式的なやり取りを軽減
- 気軽な情報交換が可能
- グループでの情報共有がスムーズ
特に重要なのは、過去の情報への参照のしやすさです。
Gmailの検索機能を使えば、メールでのやり取りと同様に、チャットでの過去のやり取りも簡単に見つけることができます。
また、データの改変ができないため、証拠能力も高く、ビジネス利用に適しています。
Chatworkの活用法
Chatworkは非常によく知られたツールですが、その特性を理解して使用することが重要です。
シンプルなUIが特徴で、直感的な操作が可能なため、ITリテラシーの高くないメンバーでも抵抗なく使えます。
主な特徴は以下の通りです:
- シンプルな操作性
- 直感的なUI設計
- 使い方の説明が少なくて済む
- チャットとタスクの統合管理
- タスク管理機能
- お使いレベルの簡易的なタスク管理
- 期限設定による進捗管理
- チャット内でのタスク割り当て
ただし、タスクが多くなってくると管理が難しくなる傾向があります。
また、アラート機能が弱く、設定したタスクを見落としてしまうケースも確認されています。
チャットワークを有効活用するためには、以下のような使い方に限定することをお勧めします:
- 社内や身内での簡潔なやり取り
- 比較的単純な指示や連絡
- 短期的な進捗確認
Slackの可能性と限界
Slackは IT業界で人気の高いツールですが、その特徴を正しく理解することが重要です。
このツールの最大の特徴は、様々なサービスとの連携機能です。
主な機能と特徴は以下の通りです:
- 多彩な連携機能
- Googleカレンダーとの統合
- Hangoutとの連携
- Twitterなど各種SNSとの接続
- カスタマイズ性
- 自社の業務に合わせた設定
- チャンネルでの情報整理
- プログラミングによる拡張も可能
しかし、実際の運用では、チャンネルが増えすぎて情報管理が難しくなるという課題が明らかになりました。
私の経験では、ITスキルの高いメンバーは問題なく使いこなせましたが、そうでないメンバーには負担が大きく、最終的に利用を断念することになりました。
LINEWORKS の実用性
LINEWORKSは、普段使い慣れているLINEに近いUIが特徴で、導入のハードルが比較的低いツールです。以下のような特徴があります:
- 管理機能の充実
- データの一括削除が可能
- 詳細な権限設定
- 退職時の情報管理がしやすい
- 運用面での特徴
- 社内限定での利用に適している
- 外部との連携には有料版が必要
- スタッフの入れ替わりが多い組織に向いている
特に飲食店など、アルバイトスタッフの入れ替わりが頻繁な業態では、LINEWORKSの管理機能が効果を発揮します。
突然の退職などでも、管理者側で適切な情報管理が可能です。
ツール選定の実践的アプローチ
ビジネスチャットツールを導入する際、「話題のツールだから」「新しいから」という理由で選択してしまいがちです。
しかし、これは必ずしも正しいアプローチとは限りません。私が学んだ重要なポイントは以下の通りです:
- 提案者の役割
- まずは提案者が徹底的に使い込む
- 使い方を完全に理解する
- 実際の業務での効果を検証する
- 段階的な導入
- いきなり全員での利用は避ける
- 小規模なチームから試験的に開始
- 効果と課題を確認しながら範囲を拡大
私の経験では、Slackの導入時に、ITスキルの高いメンバーは問題なく使いこなせましたが
そうでないメンバーがいたため、最終的には別のツールに切り替えることになりました。
このように、メンバー全員が使いこなせるかどうかは、ツール選定の重要な判断基準となります。
また、プロジェクトごとにチャットを立てる、その中では関係のない話題は持ち込まない、というルール作りも重要です。
例えば、セミナーの企画・運営に関するやり取りも、このようなルールに基づいて行うことで、効率的な情報共有が実現できています。
結論として、ツール選びの本質は、最新のサービスを手当たり次第に導入することではなく
自社の状況や環境、ITスキルのレベルに合わせて、最適なツールを選択することにあります。
まずはハードルが低い、使いやすいものから始めることで、スムーズな導入が可能になります。
次回は、これらのツールを活用したタスク管理の実践について、具体的な手法をご紹介していきます。