適当な数字で申告したらどうなる?申告後の流れも含めて税理士が解説
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
多くの個人事業主や経営者の方々にとって、確定申告は頭を悩ませるものですが、
その中でも特に注意しなければならないのが、「適当な数字での申告」です。
今回は、この行為がもたらすリスクと、申告後の流れについて詳しく解説していきます。
適当な数字での申告とは何か?
「適当な数字での申告」とは、文字通り、売上や経費を正確に計算せずに、感覚や推測で数字を記入することを指します。
例えば、「売上は大体これくらいだろう」と思い込んで、根拠のない数字を申告書に記入してしまうケースが該当します。
一見、時間を節約できる方法に思えるかもしれませんが、この行為は税務上大きな問題をはらんでいます。
なぜなら、後日税務調査が入った際に、正確な数字を求められ、申告内容との差異が明らかになった際には、修正申告が必要になる可能性が高いからです。
売上の過少申告と過大申告のリスク
適当な数字での申告には、売上を実際よりも少なく申告する「過少申告」と、多く申告する「過大申告」の両方のケースがあります。
どちらも問題がありますが、そのリスクは異なります。
過少申告のリスク
例えば、実際の売上が800万円であるにもかかわらず、700万円と申告した場合を考えてみましょう。
この程度の差異であれば、単純なミスと判断される可能性もありますが、意図的な過少申告と疑われるリスクは否定できません。
過大申告のリスク
一方、売上を800万円と申告したものの、実際は1000万円だった場合はどうでしょうか。
この場合、意図的に少なく申告したと見なされるリスクが高まります。
なぜなら、事業者が自身の不利益になるような過大申告をするとは考えにくいからです。
年次の申告傾向
さらに注意が必要なのは、毎年の申告傾向です。
毎年少なく申告していると、税務署から意図的な過少申告を行っていると疑われる可能性が高くなります。
適当な数字での申告が続くと、それ自体が意図的な行為と見なされかねません。
帳簿の重要性
適当な数字での申告を避けるためには、正確な帳簿をつけることが不可欠です。
多くの方が誤解しているのですが、白色申告であっても帳簿は必要です。
帳簿がないと、税務調査の際に非常に不利な立場に立たされることになります。
特に青色申告を行っている場合は注意が必要です。
青色申告の場合、適切な帳簿がないと青色申告の取り消しや、
各種控除の喪失につながる可能性があります。
また、消費税の観点からも帳簿は重要です。
帳簿がないと消費税の控除ができず、結果として納税額が増えてしまいます。
さらに、税務署からの対応も厳しくなる可能性が高くなります。
修正申告の重要性
もし現在、適当な数字での申告を行っている場合は、早急に見直しを行う必要があります。
具体的には、以下の手順を踏むことをお勧めします:
- 現在の申告内容を精査する
- 正確な数字を算出する
- 必要に応じて修正申告を行う
特に重要なのは、税務調査の連絡が来る前に修正申告を行うことです。
税務調査の通知が来てからでは遅く、より厳しい対応を受ける可能性が高まります。
早めの対応が、将来的な負担を大きく軽減することにつながります。
専門家への相談のすすめ
税務申告や税務調査に関する不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
私達はこういった問題に日々対応しており、適切なアドバイスを提供することができます。
特に以下のような場合は、専門家への相談を真剩に検討してください:
- 過去の申告内容に不安がある
- 税務調査の通知が来た
- 帳簿の付け方がわからない
- 事業規模が拡大し、申告が複雑になってきた
専門家のサポートを受けることで、税務調査にも自信を持って対応できるようになります。
まとめ
適当な数字での申告は、一時的には楽に思えるかもしれません。
しかし、それは税務上の大きなリスクを抱えることになります。
正確な帳簿をつけ、実際の数字に基づいた申告を行うことが、長期的には最も安全で賢明な選択です。
税務申告は事業を営む上で避けて通れない重要な義務です。
面倒だからと適当に済ませるのではなく、正確に丁寧に行うことで、将来的なリスクを大幅に軽減できます。
困ったときは早めに専門家に相談し、適切な対応を心がけましょう。
適切な税務申告は、単なる法的義務の履行だけでなく、自身の事業の健全性を確認する重要な機会でもあります。
この機会を活かし、より良い事業運営につなげていくことが、成功への近道となるでしょう。