銀行融資の攻略法:企業規模に応じた適切な銀行の選び方
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週金曜日に、経営者なら知っておきたい「銀行融資」についての知識を解説しています。
中小企業経営者にとって、銀行融資は事業運営における重要な資金調達手段です。
しかし、多くの経営者は従来の常識や慣習にとらわれ、必ずしも最適とは言えない銀行取引を続けているケースが少なくありません。
特に成長期の企業にとって、適切な銀行選びは経営戦略の要となります。
本記事では、企業規模に応じた最適な銀行選びと融資戦略について、実践的な視点からご説明します。
メインバンクの考え方を見直す
従来の常識にとらわれない銀行選び
「メインバンクは変えるべきではない」という考えは、特に中小企業の経営者の間で根強く残っています。
確かに、長年の取引関係は重要ですが、この考えに固執することで、企業の成長機会を逃してしまう可能性があります。
企業経営において、銀行取引は単なる金融サービスの利用以上の意味を持ちます。
医療でセカンドオピニオンが重要視されるように、融資においても複数の視点から検討することが重要です。
特に、企業の成長段階に応じて、より適切な金融機関との取引を検討することは、経営戦略として必要不可欠です。
金融機関の特徴と選び方
規模別の金融機関の特徴
金融機関には、それぞれ特徴と得意分野があります。
メガバンクは、豊富な資金力と迅速な判断力を持ち、融資の決定までおよそ2週間程度で対応が可能です。
一方、地方銀行は地域経済への理解が深く、中規模の融資に強みを持っていますが、決定までに3週間程度を要します。
信用金庫は地域密着型の金融機関として、きめ細かいサービスを提供しますが、大型融資の場合は決定まで1ヶ月以上かかることもあります。
このような違いは、各金融機関の組織構造や意思決定プロセスの違いに起因しています。
企業規模に応じた適切な選択
企業の規模によって、適切な取引金融機関は異なります。
例えば、月商3000万円(年商3.6億円)クラスの企業であれば、地域金融機関との取引が中心となりますが、成長に応じて見直しが必要です。
月商が5000万円(年商6億円)を超えてくると、地方銀行クラスの金融機関との取引を検討すべき段階となります。
さらに、月商7000万円(年商8.4億円)クラスになると、メガバンクとの取引も視野に入れる時期となってきます。
融資戦略のポイント
企業成長に合わせた戦略的アプローチ
企業の成長は、人間の成長に例えることができます。身長(売上)が伸びれば、それに応じて体重(運転資金)も増加するのが自然です。
同様に、企業の売上規模が拡大すれば、必要となる運転資金も増加します。この際、増加する資金需要に対応できる金融機関との取引関係が重要となります。
企業の成長スピードに金融機関の対応力が追いついていない場合、それは新たな取引先を検討するサインとなります。
特に、急成長期にある企業にとって、迅速な融資判断と十分な融資枠の確保は事業展開の生命線となります。
実務的な対応
金融機関によって融資判断のスピードは大きく異なります。この違いは、時として企業の事業機会に直接的な影響を与えることがあります。
たとえば、大型の受注や設備投資の機会を逃さないためには、迅速な融資判断が可能な金融機関との取引が必要不可欠です。
■ 取引銀行見直しのポイント
企業の将来の成長を見据えた場合、現在の取引銀行が最適なパートナーであり続けるかどうかを定期的に評価することが重要です。
まとめ
銀行取引は、企業経営における重要な戦略の一つです。
従来の常識にとらわれず、企業の成長段階に適した金融機関を選択することで、より効率的な資金調達が可能となります。
特に、成長期にある企業にとって、適切な金融機関との取引関係の構築は、今後の事業展開を左右する重要な経営判断となります。
企業の成長に合わせて、取引金融機関を戦略的に選択していく姿勢が、これからの時代には必要不可欠なのです。