売上アップの基本:確実に成果を出す販促施策の選び方
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週火曜日に、経営者なら知っておきたい「売上増加」についての知識を解説しています。
「今の時代、どんな販促をすれば効果的なんだろう?」
「うちの店に合った販促って、どうやって見つければいいんだろう?」
こんな悩みを抱える小売店経営者の方は少なくありません。
本記事では、確実に成果を出すための販促施策の選び方について、具体的にご紹介していきます。
なぜ販促は失敗するのか?実例から見える本質的な課題
私たちのコンサルティング現場では、こんな声をよく耳にします。
「とりあえずチラシを配ってみたけど、反応が今一つで…」
「SNS広告に予算をかけてみたものの、売上には結びつかなくて…」
「値引きセールをやってみたんですが、一時的な効果しかなくて…」
特に印象的だったのは、ある電器店のお客様の言葉です。
「お客様に合わせた施策じゃなかったんです。ただ、他店の真似をしていただけでした」
この言葉には、多くの小売店が陥りがちな販促の本質的な課題が集約されています。
では、どうすれば効果的な販促が実現できるのでしょうか?
成功する販促の2つの基本アプローチ
売上アップのための販促は、実はとてもシンプルです。
これまでの成功事例を分析すると、2つのアプローチに集約されることがわかりました。それぞれの具体例を見ていきましょう。
1. 客単価を上げる:文具店の成功事例から学ぶ
ある文具店では「来店したお客様に、もう少し買っていただく」という明確な目標を立てました。
この目標に向けて、お客様の購買行動を丁寧に分析し、以下の施策を実施することで着実な成果を上げています。
- レジ横に関連商品を陳列
- セット販売の提案
- 使い方提案コーナーの設置
これらの施策が功を奏した理由は、すべてがお客様の「あったらいいな」というニーズに応えるものだったからです。
特に使い方提案コーナーは、お客様の潜在的なニーズを掘り起こすことに成功しました。
2. 来店頻度を上げる:雑貨店の取り組みに学ぶ
一方、ある雑貨店では異なるアプローチで成果を上げています。
「月1回のお客様に、月2回来ていただく」という具体的な目標を掲げ、お客様とのコミュニケーションを重視した施策を展開しました。
- ポイントカードの活用
- 新商品情報のLINE配信
- 商品入荷予定のお知らせ
これらの施策の特徴は、すべてがお客様との継続的な関係構築を意識したものだという点です。
特にLINE配信では、単なる商品案内ではなく、お客様一人ひとりの興味に合わせた情報提供を心がけました。
商品タイプ別の効果的アプローチ
販促を考える上で重要なのは、自店の商品特性を正しく理解することです。
商品タイプによって、効果的なアプローチは大きく異なってきます。
集客商品がある場合の施策
集客商品は、新規のお客様を店舗に呼び込む重要な役割を果たします。
この強みを最大限に活かすため、以下のような施策が効果的です。
- まずは来店を促す
- お試し価格の設定
- 店頭での目立つ陳列
これらの施策を実施する際は、必ず次の買い物につながるような仕掛けを準備しておくことが重要です。
収益商品が充実している場合の施策
収益商品は店舗の利益を支える重要な柱です。
ただし、これらの商品は往々にして商品特性が複雑だったり、価格が比較的高めだったりするため、丁寧な販売アプローチが求められます。
そこで、以下のような施策が効果的となります。
- 接客時間の確保
- 商品説明ツールの充実
- スタッフ教育の徹底
これらの施策を組み合わせることで、お客様に商品の価値を十分に理解していただき、納得して購入いただけるようになります。
和菓子店に学ぶ:季節商品を活かした販促
季節商品の販促で悩む店舗は多いものです。
ある和菓子店では、データ分析によって「季節商品が2回目以降の来店のきっかけになっている」という重要な発見がありました。
この気づきを活かし、以下のような施策を展開したところ、大きな成果を上げることができました。
- 次回商品の予告
- 予約特典の設定
- 会員様限定商品の提供
これらの施策が功を奏した理由は、お客様の期待感を高め、次の来店までの橋渡しをしっかりと行えたからです。
効果を高める3つのポイント
これまでの事例を詳しく分析すると、成功している販促には必ず押さえるべきポイントがあることがわかりました。
以下の3つの要素を意識することで、販促の効果を大きく高めることができます。
1. 時期を見極める
タイミングは販促の成否を左右する重要な要素です。
以下の点に注意を払うことで、より効果的な実施時期を見極めることができます。
- 自然と売れる時期に実施
- 競合店の動きを把握
- お客様の購買サイクルを考慮
この3つの視点でタイミングを検討することで、「打ち手の重複」を避け、より効率的な販促が可能になります。
2. 対象を絞る
「全てのお客様に向けた販促」は、往々にして効果が分散してしまいます。
お客様のタイプごとに以下のように対象を明確に定めることで、より効果的なアプローチが可能になります。
- 新規のお客様向け
- 常連のお客様向け
- 休眠客向け
それぞれの対象に合わせて施策を組み立てることで、限られた予算でも高い効果を得ることができます。
3. 数値目標を明確に
具体的な数値目標を設定することで、施策の効果測定が容易になり、改善点も明確になります。
例えば、以下のような具体的な数値を設定しましょう。
- 客単価10%アップ
- 来店頻度を1.5倍に
- 新規顧客を月50名
これらの数値は、自店の現状を踏まえた上で、達成可能かつ意欲的な水準に設定することが重要です。
明日から始められる!実践ステップ
ここまでの内容を踏まえ、具体的なアクションに落とし込んでいきましょう。
まずは以下の手順で、自店の現状を整理することをおすすめします。
1. お客様を分類する
まずは来店頻度や購買金額などの視点から、お客様を以下の3つのグループに分類します。
- 新規のお客様
- 時々来るお客様
- よく来るお客様
この分類により、それぞれのグループに対する適切なアプローチが見えてきます。
2. それぞれの課題を見出す
お客様の分類ができたら、次は各グループの課題を明確にしていきます。
以下のような視点で課題を整理してみましょう。
- 初回以降も来店してもらうには?
- もう1回来店してもらうには?
- さらに購入を増やしてもらうには?
これらの問いに答えていく中で、具体的な施策のヒントが見えてきます。
例えば、新規のお客様の2回目の来店率が低い場合、初回購入時の接点づくりを見直す必要があるかもしれません。
3. 優先順位をつける
限られた経営資源を効果的に活用するために、優先順位付けは非常に重要です。
以下の3つの観点から検討していきましょう。
- 今の自店の状況は?
- どこを伸ばすのが効果的?
- 実現可能な施策は?
優先順位を決める際は、「実現可能性」と「期待される効果」のバランスを考慮することが大切です。
すぐに始められる小さな施策から着手し、成果を積み重ねていく方法がおすすめです。
まとめ:成功する販促の本質
ここまで、様々な販促施策について見てきました。
しかし、最も重要なのは、これらはすべて「お客様のことを深く理解する」という土台の上に成り立っているという点です。
販促は、決して特別なことではありません。お客様のことを考え、地道に実行していく。その積み重ねが、確実な成果につながっていくのです。
本記事の内容は、これまで多くの店舗様との関わりの中で得られた知見をまとめたものです。
しかし、これはあくまでも基本的な考え方であり、実際の運用では各店舗様の状況に応じたカスタマイズが必要になるでしょう。
まずは自店の現状をしっかりと見つめ直し、どの施策から始めるべきか、じっくりと検討してみてください。
そして、実践の中で得られた気づきを、ぜひ次の施策に活かしていただければと思います。皆様の成功を、心よりお祈りしております。