売上アップの意外な法則!今すぐ実践したい「リピート率」引き上げ戦略
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週火曜日に、経営者なら知っておきたい「売上増加」についての知識を解説しています。
「新規のお客様の獲得に力を入れているのに、なかなか売上が安定しない」
「広告費をかけても、一時的な集客にしかつながらない」
「常連のお客様が徐々に減っているような気がする」
こんな悩みを抱える経営者様は少なくありません。
私がこれまで相談を受けてきた中小企業の経営者様の多くが、同じような課題を抱えていました。
実は、その原因の多くは「新規開拓」に気を取られすぎて、実は10倍効果的な方法を見逃していることにあります。
今回は、その解決策について、具体的な事例を交えながらご説明していきます。
リピート率の驚くべき効果:数字で見る実態
■リピート率が売上に与える影響
ある飲食店での実例をお話しします。
この店舗では1月に1,000人のお客様が来店されました。
その後の推移を、リピート率別に比較してみましょう。
【リピート率50%の場合】
- 1月:1,000人
- 2月:500人
- 3月:250人
- 4月:125人
- 5月:63人
- 6月:32人
【リピート率60%の場合】
- 1月:1,000人
- 2月:600人
- 3月:360人
- 4月:216人
- 5月:130人
- 6月:78人
たった10%のリピート率の違いが、半年後には2.5倍近い来店客数の差となって表れるのです。
さらに重要なのは、これは単なる数字の違いではないということです。
■収益面での具体的なメリット
実際の収益面では、以下のような好循環が生まれます:
- マーケティングコストの削減
- 新規客獲得コスト:平均8,000円/人
- 既存客維持コスト:平均1,500円/人 →年間1,000人の集客で、約650万円のコスト削減が可能
- 人件費の最適化
- 来店予測の精度が上がり、適切なシフト配置が可能に
- ある小売店では、リピート率10%向上により人件費を15%削減
- 在庫管理の効率化
- 需要予測の精度が向上
- ある食品店では、廃棄ロスを年間で23%削減
リピート率を上げる3つの実践的アプローチ
1. 顧客のランク分け:実践的な方法
▼基本的な分類方法
- 新規客(初回来店)
- 準常連客(3ヶ月以内に2-3回来店)
- 常連客(月1回以上の来店)
- VIP顧客(売上トップ20%)
▼具体的な管理方法
- エクセルでの簡易管理から始める
- 来店日、購入商品、購入金額を記録
- 特記事項(好みや要望)もメモ
【実例:美容院での活用方法】
顧客名:山田様
ランク:常連客
来店頻度:6週間に1回
好み:自然な仕上がり
特記:カラーは明るすぎない色を希望
2. 効果的なコミュニケーション戦略
▼ザイオンス効果を活用した接点作り
心理学の「ザイオンス効果」によると、接触回数が増えるほど好感度は自然に上がっていきます。重要なのは「質」ではなく「量」です。
【具体的な施策例】
- 定期的な情報発信
- 月1回のニュースレター
- 週1回のLINE配信
- 誕生日メッセージ
- タッチポイントの増加
- 店舗での声がけ
- SNSでの投稿
- DMでの案内
【成功事例:八百屋さんの取り組み】
- 毎週月曜日に「今週のおすすめ野菜」をLINEで配信
- おすすめレシピも一緒に提案
- 実施後3ヶ月で平均客単価が12%上昇
3. 構造的リピートの仕組み化
▼具体的な仕組みの例
- ポイントカード制度
- 通常ポイント:購入額の3%
- 特典ポイント:誕生月は2倍
- ランク別特典:年間購入額に応じて割引率アップ
- 定期購入システム
- 10%OFF特典
- 送料無料
- 特別商品の優先案内
- 会員限定サービス
- 先行セール案内
- 特別イベント招待
- 限定商品の購入権
【実例:クリーニング店での成功事例】
- 月額会員制度を導入
- 月4点まで2,980円の定額制
- 導入後1年で売上30%増加
明日から始める具体的なアクションプラン
▼Week 1:現状把握
1日目:顧客データの整理開始
- エクセルで顧客リスト作成
- 過去3ヶ月の来店履歴入力
2-3日目:顧客ランク分け
- 来店頻度でA~Dランクに分類
- 各ランクの特徴を分析
4-5日目:コミュニケーション方法の検討
- 各ランク別のアプローチ方法を計画
- 必要な素材・ツールのリストアップ
▼Week 2:基盤づくり
1-3日目:情報発信の仕組み構築
- LINEやメールの配信準備
- テンプレートの作成
4-5日目:スタッフへの共有
- 目的と方法の説明
- 役割分担の決定
▼Week 3-4:実施と調整
- 情報発信開始
- お客様の反応確認
- 必要に応じて内容調整
リピート率改善の成功事例
▼Case 1:街の洋菓子店
【課題】
- 新規客は多いが、再来店率が低い
- 商品の良さが伝わっていない
【対策】
- LINEでの情報発信開始
- 商品製作過程の動画配信
- 期間限定商品の事前告知
【結果】
- リピート率:22%→35%
- 売上:前年比127%
▼Case 2:美容院
【課題】
- 予約が安定しない
- 顧客の来店サイクルが不規則
【対策】
- カルテ作成による顧客管理
- 次回予約の促進
- 3ヶ月以上来店のないお客様へのアプローチ
【結果】
- リピート率:45%→67%
- 売上:前年比138%
まとめ:小さな一歩から始める売上改善
リピート率の改善は、決して大がかりな投資や複雑な戦略を必要としません。
まずは今日からできる「顧客リストの整理」や「定期的な情報発信」から始めてみましょう。
重要なのは、「継続できる仕組み」を作ることです。たとえ小さな取り組みでも、続けることで大きな成果につながります。
一度にすべてを完璧にしようとせず、できることから一つずつ実施していきましょう。
お客様との関係づくりには時間がかかりますが、その分だけ強固な経営基盤を築くことができます。
新規開拓に力を入れる前に、すでに来店してくださっているお客様との関係づくりに目を向けてみませんか?
次回は、すでに来店されているお客様の客単価を上げるための具体的な手法についてお伝えしていきます。
実際の成功事例を交えながら、すぐに実践できる方法をご紹介していきますので、ぜひお楽しみに。