場所にとらわれない働き方の実現 ~4つの課題と具体的な解決策~

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週木曜日に、経営者なら知っておきたい「業務効率」についての知識を解説しています。

「オフィスの家賃は毎月の大きな固定費だけど、本当に必要なのだろうか?」

このような悩みを抱える経営者の方は多いのではないでしょうか。

私も以前はそのように考えていましたが、実は従来オフィスに縛られていた業務の多くは、

適切なツールとノウハウがあれば、場所を問わずに実施可能であることがわかってきました。

変化する働き方とそのメリット

実際の働き方改革の効果は、以下のような具体例から見えてきます。

まず、働き手のストレス軽減という点では、好きな時に好きな場所で仕事ができることで

効率的な時間の使い方が可能になります。例えば、平日の昼間にスポーツをして気分転換したり

夜は自宅のリビングでくつろぎながら仕事をしたりすることで、ワークライフバランスが大きく改善します。

時間効率の改善については、特に遠方での商談に大きな効果が表れています。

以前は30分の打ち合わせのために往復5時間もの移動時間が必要でしたが、Zoomでのオンラインミーティングによって

その移動時間を完全に削減することができました。さらに、秋田や山形、大阪、神戸など、これまでは

距離的な制約で取引が難しかった遠方のお客様との商談も可能になっています。

実現のための4つの課題

しかし、場所にとらわれない働き方を実現するには、いくつかの課題を克服する必要があります。

以下、主要な4つの課題とその解決策について、具体的に見ていきましょう。

1. 書類管理の電子化

従来のオフィスでは、申告書や契約書、預かり資料など、大量の紙の書類をキャビネットで保管し、必要な時に探す必要がありました。

これらの書類は持ち運びが困難で、オフィスという場所に私たちを縛り付ける大きな要因となっていました。

この課題に対する具体的な解決策として、以下の手順が効果を上げています:

  1. 書類のデジタル化
  • ScanSnapでの文書スキャン
  • PDFデータとしての保存
  • 健康診断結果なども含めた包括的な電子化
  1. クラウドストレージの活用
  • Dropboxでのデータ保管
  • インターネット上での安全な管理
  • バックアップの自動化
  1. 契約書類の電子化
  • クラウドサインでの契約締結
  • 印紙税の削減
  • 月5件までは無料で利用可能

実際の運用では、原本保存が必要でない書類は全てデータ化し、原本は破棄するというシンプルなルールを採用しています。

インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも必要な書類にアクセスできる環境が整いました。

2. 印刷・コピー業務のデジタル化

会計事務所の業務では、申告書のコピーや各種書類の印刷が日常的に発生します。

これらの作業もまた、オフィスという場所に私たちを縛り付ける要因でした。

この課題への対応としては:

  1. PDF化の徹底
  • Microsoft Print to PDFやDocuworksの活用
  • 電子データでの保存・共有
  • 印刷機会の最小化
  1. モバイルでの対応
  • スマートフォンでのスキャン
  • 外出先での即時データ化
  • Evernoteなどのアプリ活用
  1. デジタルワークフローの確立
  • 電子データでの承認プロセス
  • オンラインでの共有
  • ペーパーレスでの業務推進

お客様先や外出先でも、スマートフォンがあれば必要な資料を即座にデジタル化できる

環境を整えることで、プリンターやコピー機への依存から脱却することができました。

3. コミュニケーション手段の最適化

固定電話やFAXは、従来のオフィスでは必須のツールとされてきました。

しかし、これらの機器への依存は、場所の自由度を大きく制限していました。

この課題への対応として、以下のような施策が効果を上げています:

  1. 電話対応の改革
  • ベルシステムやfondeskでの電話対応代行
  • 対応内容のメール転送
  • お客様との直接連絡は携帯電話を活用
  1. FAXのデジタル化
  • JFAXでのオンラインFAX活用
  • パソコンやスマホからの送受信
  • データとしての保管・転送が可能

実際の活用例として、税務署との税務調査のやり取りもJFAXで行い、席を移動することなくパソコン上で

全てのやり取りを完結させることができました。むしろ通常のFAXよりもスムーズなやり取りが可能になっています。

4. ミーティングスタイルの改革

対面でのミーティングは、移動時間の無駄が大きな課題でした。

特に遠方のお客様とのミーティングでは、30分の打ち合わせのために往復5時間もの移動時間が必要になることもありました。

この課題への対応として:

  1. オンラインミーティングの活用
  • Zoomでのビデオミーティング
  • 画面共有機能の活用
  • 遠方のお客様との商談にも対応
  1. 柔軟な時間調整
  • 夜10時からのミーティングも可能に
  • 移動時間のストレスなく対応
  • 日程調整の幅が大幅に拡大

実際の効果として、秋田や山形、大阪、神戸など、

これまでは距離的な制約で対応が難しかった地域のお客様との取引が可能になりました。

集中力を高めるための工夫

場所にとらわれない働き方には、集中力の維持という新たな課題も存在します。

この点については、あえて人目に触れる場所で作業をするという逆説的な解決策が効果を上げています。

例えば、セミナーの準備は近所のカフェで行うことで、次のような効果が得られています:

  • 適度な緊張感の維持
  • 時間の無駄遣い防止
  • 集中した作業時間の確保

これは、設備の整った専用オフィスがありながらも、あえて選択している働き方です。

このように、場所にとらわれない働き方は、単にオフィスから解放されるだけでなく、

より効率的で生産性の高い業務スタイルを実現する機会となっています。

実践までのステップ

文書管理、印刷、通話、ミーティングといった業務のクラウド化は

一度に全てを変更するのではなく、段階的に進めていくことが重要です。

新しいツールやサービスを導入する際は、以下の点に注意が必要です:

  • 提案者が徹底的に使い込んで理解すること
  • 全員での一斉導入は避け、段階的に進めること
  • ツールの使い方を理解していないメンバーがいる場合は、無理に使用を強制せず、現状の方法との併用を認めること

例えば、私の経験ではSlackというビジネスチャットツールを導入した際、ITスキルの高いメンバーは問題なく使えましたが

そうでないメンバーもいたため、最終的には別のツールに切り替えることになりました。

新しいことへの挑戦は重要ですが、メンバー全員が使いこなせるツールを選択することが、成功への近道となります。

まとめ:場所にとらわれない働き方のポイント

クラウドツールの活用により、オフィスの必要性は想像以上に低くなっています。

適切なツールとノウハウがあれば、生産性を維持したまま、場所にとらわれない働き方が実現可能です。

ツールの選択は、「最新だから」「話題だから」ではなく、自社の状況や環境、ITスキルのレベルに合わせて行うことが重要です。

ハードルが低い、使いやすいものから始めることで、スムーズな導入が可能になります。

次回は、これらの取り組みを支えるビジネスチャットツールについて、実際の使用経験に基づいた詳しい解説をしていきます。

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