銀行格付けの真実:成功企業の格付けアップ具体的戦略

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週金曜日に、経営者なら知っておきたい「銀行融資」についての知識を解説しています。

これまで多くの経営者から「格付けを上げたいのですが、具体的に何から始めればいいのか」という相談を受けてきました。

改善すべきポイントは多岐にわたります。そこで重要になるのが「優先順位」です。すべてを一度に改善することは困難ですし、効率的でもありません。

そこで本記事では、私が実際に関わった経験をもとに、銀行格付けを効果的に引き上げるための基本戦略と具体的な施策についてお伝えします。

時間軸に応じた改善策や、銀行とのコミュニケーションの取り方など、実践的なポイントを段階的に整理しましたので、ぜひご活用ください。

銀行格付けアップの基本戦略

はじめに、銀行格付けを引き上げるための基本的な方向性を押さえましょう。

企業の格付けを上げるには、財務面や事業面、さらに組織面に至るまで、多角的に改善していく必要があります。

しかし、一度に手を広げるのではなく、どの施策にどのタイミングで取り組むかが肝心です。

具体的には、取り組む「時間軸」に応じて下記の3つに施策を分類できます。

1. 即効性のある施策(3ヶ月以内)

比較的短期間で効果が期待でき、主に実務レベルの対応で済むため、初めての方でも取り組みやすい改善策です。

早期に結果を出すことで、経営者自身や社内のモチベーションを高める狙いもあります。

2. 中期的な施策(半年〜1年)

半年から1年ほどのスパンで成果を狙う施策です。業務オペレーションの見直しや体質改善といった“腰を据えた”対応が中心となります。

収益構造の改善や財務体質の強化は、銀行格付けの安定的な向上を支える核となる部分です。

3. 長期的な施策(1年以上)

企業の根本的な体質変革を目指す、大きな改革を伴う施策です。事業構造の見直しや組織づくり、人材育成など、企業の将来を左右する重要なテーマが中心です。

時間はかかりますが、結果的には格付けに対して大きくプラスに働き、銀行から高い評価を得られる可能性が高まります。

即効性のある施策

まずは「即効性のある施策」から見ていきます。

すぐに着手でき、早期に効果が出やすい取り組みを優先することで、最初の成功体験が得られやすくなります。

1. 決算対策

短期間で数字に反映されやすいのが決算対策です。具体的には、以下のようなポイントが挙げられます。

  • 決算期のずれの活用
    決算期を変えることで、計上される売上や経費のタイミングを調整する方法です。ただし、根拠のない操作は禁物であり、実態を無視した数字の動かし方には要注意です。
  • 仕入・経費の計上時期の調整
    期末直前に仕入や経費を増やす・減らすなど、決算書上の数値を最適化する方法です。ただし、あまりに大幅な調整は監査や銀行から不信感を抱かれるリスクがあります。
  • 在庫の適正化
    売れ残り在庫を削減することは、資金効率の向上と数字の健全化につながります。ただし“数字合わせ”を目的とした無理な処分は、かえって損失を生む可能性があるためバランスが大切です。
  • 不要資産の売却・遊休資産の活用
    使っていない土地や建物などを売却し、資金化することで財務体質を改善します。売却で得た資金を運転資金の充当や借入金の返済に回すことで、キャッシュフローを健全化できます。

2. 情報開示の改善

もうひとつ、短期的に取り組みやすいポイントが「情報開示の改善」です。

どれだけ優れた施策を実行しても、銀行にきちんと伝わらなければ、評価は思うように向上しません。

  • 経営計画の提示
    具体的な数値目標や行動計画をわかりやすくまとめ、将来の事業見通しを明確にします。
  • 実態説明資料の充実
    月次試算表や資金繰り表、事業環境の説明資料などを定期的に提出し、銀行との情報共有を欠かさないようにします。
  • 進捗管理の方法
    計画を立てても、“どこまで達成できたのか”を示せなければ意味がありません。進捗を追いかける管理方法もあわせて提示することが重要です。

ポイント:数字の組み替えだけには要注意
銀行の信頼を得るうえで、「実態を正確に反映した決算書」を作ることは大前提です。短期的な数字操作に走るのではなく、あくまでも正しい数値に基づいた改善策を取ることが、長期的には格付けアップに大きく貢献します。

中期的な施策

続いて、半年〜1年をかけて実施する施策について解説します。

即効性のある施策と同時並行で進めることで、企業の体質をより強固にしていくことができます。

1. 収益性の改善

銀行格付けにおいて、特に重要視されるのが「営業利益」や「経常利益」です。ここを改善することで、格付けの中核となる財務指標が向上します。

  • 売上総利益率の向上
    価格戦略の見直しや仕入条件の交渉により、粗利益率を高めることを目指します。とくに不採算取引の見直しは、利益率改善に大きく寄与します。
  • コスト構造の改善
    固定費を見直す、変動費を削減するといった形で、無駄なコストを洗い出すことは継続的に行うべき重要施策です。

2. 財務体質の強化

収益が改善しても、運転資金や借入金の管理が甘いと評価は伸び悩みがちです。財務体質の健全化も同時に進めましょう。

  • 運転資金の効率化
    在庫回転率を改善する、売掛金回収を早める、支払条件を適正化するなど、キャッシュフローを良好に保つ手法を整えます。
  • 有利子負債の圧縮
    返済計画の見直しや金利の交渉、借入金の一本化などを検討し、金利負担や返済リスクを軽減することも評価アップに直結します。

長期的な施策

1年以上のスパンで取り組む施策では、企業そのものの構造改革や組織体制づくりがメインテーマとなります。

ここを強化することで、銀行からの長期的な信頼を得られる可能性が高まり、格付けアップにも大きく寄与します。

1. 事業構造の改革

  • 事業ポートフォリオの見直し
    主力事業を強化し、不採算事業からは撤退を検討します。また、新規事業を開発し、収益源を増やす方向性も視野に入れましょう。
  • 競争力の強化
    技術力や人材育成、設備投資などで企業のコア・コンピタンスを伸ばし、長期的に市場優位性を維持できる体制を作ります。

2. 組織体制の整備

  • 管理体制の強化
    経営管理システムの導入や内部統制の整備、リスク管理体制の構築など、ガバナンスをしっかり固めることで銀行の信頼度が高まります。
  • 人材マネジメント
    後継者の育成や給与体系の整備、社員教育の仕組みづくりなども、企業の将来性を示すうえで重要です。

格付けアップのための実践ポイント

最後に、具体的な実行段階で押さえておきたいポイントを4つに整理します。

これらのステップを踏むことで、施策が単発で終わることなく、継続的な効果を発揮するようになります。

1. 現状分析の徹底

まずは自社の実態を正確に把握することから始めましょう。

数字を細かく見るだけでなく、社内の組織体制や市場環境なども含めて、課題を洗い出します。

  • チェックポイント
  • 財務面:格付けに影響する重要指標(営業利益率、自己資本比率など)
  • 事業面:自社の強み・弱み、競合との比較、市場の動向
  • 組織面:人材配置や管理体制、後継者の有無

2. 具体的な数値目標の設定

次に、改善活動を“見える化”するために、実行可能な数値目標を設定します。

短期・中期・長期に分けてゴールを設定すると、進捗のチェックがしやすくなります。

  • 設定例
  • 短期目標(3ヶ月):在庫削減率、売掛金回収日数、経費削減額
  • 中期目標(1年):営業利益率、借入金返済額、自己資本比率
  • 長期目標(3年):売上高、経常利益率、格付けランク

3. 実行計画の策定と進捗管理

具体的な数値目標を設定したら、それを達成するための実行計画を立て、定期的に進捗を確認します。

担当者やスケジュール、マイルストーンを明確にし、PDCAサイクルを回しましょう。

  • 計画策定のポイント
  • 責任者の明確化:各施策ごとに誰がリーダーとなるのか。
  • スケジュールの具体化:3ヶ月後、半年後、1年後に何を達成するか。
  • 報告ラインの確立:定期的な会議や報告書など、進捗管理のルールづくり。

4. 銀行とのコミュニケーション戦略

最後に、やったことを正しく銀行に伝える努力が必要です。

日頃から信頼関係を築き、節目での報告や将来計画の共有を怠らないようにしましょう。

  • 効果的な報告方法
  • 定期報告:月次実績や施策の進捗、新たな課題を共有。
  • 節目での報告:大きな成果が出た時、新たな施策を開始する時などには、担当者や担当支店に直接伝えておく。
  • 将来展望の共有:中期経営計画や事業承継の方向性、設備投資プランなどを提示し、長期的な視点での信頼を確保。

まとめ:効果的な格付けアップのために

本記事では、銀行格付けを引き上げるための戦略や具体策を、「即効性のある施策」「中期的な施策」「長期的な施策」に分けて解説しました。

  • 時間軸を意識した改善活動
  • 短期施策(3ヶ月以内):決算対策や情報開示など、まずは手がつけやすい部分から着手
  • 中期施策(半年〜1年):収益性の改善や財務体質の強化
  • 長期施策(1年以上):事業構造の改革や組織体制の整備
  • バランスの取れたアプローチ
  • 財務指標の改善だけでなく、事業面や組織面の強化も同時並行で進める
  • 銀行格付けは定量面(利益率・自己資本比率など)と定性面(組織力・将来性など)の両面評価で決まる
  • 実行のポイント
  • 現状分析の徹底
  • 具体的な数値目標の設定
  • 計画策定とPDCAサイクルによる進捗管理
  • 銀行との適切なコミュニケーション

格付けの向上には、どうしても一定の時間がかかります。しかし、的確な優先順位を設定し、実行→検証→改善の流れを継続すれば、必ず着実な結果につながります。

短期的な「数字合わせ」ではなく、中長期的な視点で企業の体質そのものを強化することが、最終的には銀行からの高い評価を得る近道です。

ぜひ参考にしていただき、貴社の格付け改善に取り組んでみてください。何か気になる点や疑問があれば、遠慮なくご相談いただければ幸いです。

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