売上アップの基本:過去データから読み解く売上予測の手法

皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。

毎週火曜日に、経営者なら知っておきたい「売上増加」についての知識を解説しています。

「毎月目標は立てているのに、なかなか届かなくて…」「売上が読めないから、仕入れや人員配置に悩んでいて」

こんなお悩みをよく耳にします。実は、多くの企業が陥っている問題なんです。

私がお客様におすすめしているのが、過去データを活用した売上予測です。

本記事では、多くの中小企業で課題となっている売上予測について、実践的な方法をご紹介します。

長年の経営コンサルティング経験から、特に効果的だった予測手法と、すぐに活用できるポイントを解説していきます。

売上予測の基本的な考え方

私の経験則では、過去2年分のデータがあれば、十分に精度の高い予測が立てられます。

なぜ2年分なのか?

  • 1年だけでは特殊要因が判断できない
  • 3年以上前は現在の状況と乖離している可能性が高い
  • 2年分あれば、トレンドの方向性が見える

具体的な予測の立て方

それでは、実際の予測方法をご紹介していきましょう。私がお取引先にお伝えしているのは、「シンプルだけど確実」な方法です。

1. まずは削減率(前年比)を確認します

「ここ最近、売上がどんな推移をしているのか」、これを大きくつかむことから始めましょう。

例えば、こんなケースを考えてみましょう:

2022年:前年比90%

2023年:前年比90%

この数字から何が読み取れるでしょうか?

実は、このパターンの場合、特別な手を打たなければ2024年も90%で推移する可能性が高いのです。これが「自然体」での予測値になります。

2. ここで要注意!見落としがちなポイント

ただし、ここで終わってしまうと、大切な要素を見落としてしまいます。以下のようなポイントは、必ずチェックするようにしましょう:

  • 大型連休は前年と同じ時期ですか?
  • 近隣に競合店の出店予定はありませんか?
  • SNSで話題になった特需はなかったですか?
  • 天候不順の影響は考慮していますか?

「そういえば…」と思い当たる節はありませんか?これらの特殊要因は、必ずメモに残しておくことをお勧めします。来年の予測を立てる際の貴重な判断材料となります。

私がいつもお客様にお伝えしているのは、「予測は完璧である必要はない」ということです。大切なのは、定期的に見直しながら、予測の精度を上げていく姿勢なのです。

データの活用術:成功企業の事例から

「数字は取っているけど、どう活かせばいいのか…」

こんな悩みをよく耳にします。では、実際の成功事例をもとに、すぐに使えるデータ活用法をご紹介しましょう。

事例1:雨の日を味方につける

ある雑貨店のオーナー様が発見したのは、意外な事実でした。

「雨の日は売上が2割減るんです」

そこで、思い切って雨の日に店内イベントを集中させることにしました。すると、なんと前年比95%まで改善。オーナー様が教えてくれたのは、意外な事実です。

「実は雨の日、ゆっくり商品を見てくれるお客様が多かったんです」

事例2:新商品投入のタイミング

あるラーメン店での発見が面白いんです。

「不思議なことに、新メニューを出した月だけ、前年比105%になったんです」

そこで、3ヶ月に1回の新メニュー導入を定期化することに。結果、安定した売上増を実現できました。

「うちには新商品を出す余裕が…」

そう思われるかもしれません。でも、実は商品の組み合わせを変えるだけでも十分な効果が出ているんです。

あなたのお店の「宝の山」

さあ、あなたのお店のデータにも、きっと「宝の山」が眠っています。

まずはこんな視点で見直してみましょう:

  • 売上が良かった日の共通点は?
  • お客様の来店パターンは?
  • よく一緒に買われる商品は?

小さな気づきが、大きな変化を生むきっかけになるはずです。

予測と実績の差から読み解く経営課題

「予測と実績、ズレが出るのは当たり前」

そうお考えの経営者様も多いのではないでしょうか。でも、実はこの「ズレ」こそ、大切なヒントなんです。

予測を上回った月は「宝の山」

例えば、ある眼鏡店の事例です。

「10月の売上が予測より2割増えたんです」

原因を探ってみると、近くの学校の検診時期と重なっていたことがわかりました。

次の年は、この時期に合わせて事前に販促を強化。その結果、さらに3割のアップを達成できたんです。

予測より下回った月も「チャンス」

「悪い数字から目を背けたくなる…」

よくわかります。でも、ここにもヒントが隠れています。

あるカフェでは、予測より2割も売上が下がった月がありました。スタッフと話してみると、「実は接客に時間がかかっていて…」という声が。

これをきっかけに業務改善に取り組み、むしろ良い転機となったのです。

明日からできる!予測精度を上げるコツ

「難しそう…」

そう思われる前に、まずはここから始めてみましょう。

今すぐできる3つの習慣

  1. 天気と売上をメモするだけ 「晴れ、雨、曇り」でOKです。天気と売上の関係性が見えてきます。
  2. 月末の10分振り返り 良かった日、悪かった日、特別なできごとをサッと書き留めるだけ。 「あの日は近くでイベントがあったな」といった気づきが、次の施策のヒントに。
  3. スタッフの「気づき」を聞く たった1分のヒアリングでも十分です。現場の声には宝物が隠れています。

おわりに

「結局、予測って当たらないんでしょ?」

そんなことはありません。大切なのは、完璧な予測ではなく、少しずつ精度を上げていくこと。

まずは、明日から天気と売上のメモからスタートしてみませんか? きっと、新しい発見があるはずです。

次回は、この予測をもとにした「効果的な予算配分の方法」について、すぐに使える具体例をご紹介していきます。お楽しみに。

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