なぜうちに税務調査が?選ばれる基準とその後の対策について
皆さんこんにちは。クラウド会計で経営支援を提供する千葉の税理士、中川祐輔です。
毎週月曜日に、経営者なら知っておきたい「税務調査」についての知識を解説しています。
この記事では、税務調査が行われる基準や対策について詳しく解説し、経営者の皆様に必要な知識と心構えをお伝えします。
税務調査の基準:なぜ自社が選ばれるのか
税務調査が行われる明確な理由は通常公表されません。しかし、一般的に以下のような要因が考えられます:
- 無申告の状態
- 売上金額の不自然さ
- 所得金額の低さ
- 消費税の申告状況
- 特定の業種(特にネットビジネス)
1. 無申告の影響
確定申告義務があるにもかかわらず、申告を行っていない場合は税務調査の対象となる可能性が非常に高くなります。
税務署からすれば、「確定申告をしてください」という形で介入する必要があるためです。
2. 売上金額の不自然さ
税務署は様々な方法で個人や企業の収入情報を収集しています。
もし税務署が集めた情報と確定申告の内容に大きな差異がある場合、調査の対象となることがあります。
3. 所得金額の低さ
個人事業主の場合、売上から経費を引いた利益(所得)から生活費を賄う必要があります。
所得金額があまりにも少ない場合、生活が成り立たないと判断され、調査の対象となる可能性があります。
4. 消費税の申告状況
売上金額が800万円から900万円程度で数年続いている場合、税務調査の可能性が高まります。
これは、消費税の納税義務が発生する1,000万円を意図的に下回っているのではないかという疑いが生じるためです。
5. 特定の業種への注目
最近では、ネットビジネスに関する税務調査が増加しています。
国税庁も無申告やネットビジネスに関する調査を強化しているため、オンラインビジネスや副業を行っている方は特に注意が必要です。
税務調査の目的を理解する
税務調査の目的は、必ずしも脱税や不正を摘発することではありません。主な目的は以下の通りです:
- 確定申告内容の正確性確認
- 無申告者の確定申告義務の確認
- 税法の正しい適用の確認
税務調査が行われるからといって、必ずしも間違いや不正があるわけではありません。
正確な申告を促進し、公平な税制を維持するための重要なプロセスとして理解することが大切です。
税務調査への対策:経営者が取るべき行動
- 適切な記録管理
- 全ての取引の記録を正確に保管する
- 領収書や請求書などの証憑書類を整理する
- 電子データの適切なバックアップを行う
- 正確な確定申告
- 期限内に確定申告を行う
- 売上や経費を適切に計上する
- 特殊な取引や大きな変動がある場合は注記を付ける
- 税法の理解と遵守
- 最新の税法改正に注意を払う
- 不明点は税理士に相談する
- 業種特有の税務上の取り扱いを理解する
- 内部統制の強化
- 経理処理のチェック体制を整える
- 定期的な内部監査を実施する
- 従業員への税務コンプライアンス教育を行う
- 専門家の活用
- 信頼できる税理士と顧問契約を結ぶ
- 複雑な取引や判断に迷う場合は事前に相談する
- 税務調査の際には専門家の立ち会いを検討する
税務調査が通知された場合の対応
- 冷静に対応する
- パニックにならず、冷静に状況を分析する
- 社内で情報を共有し、対応チームを編成する
- 準備を整える
- 要求された資料を整理し、準備する
- 過去の取引や判断の根拠を再確認する
- 不明点や懸念事項をリストアップする
- 誠実に対応する
- 調査官の質問に対して誠実に回答する
- 隠蔽や虚偽の説明は避ける
- 分からない点は「確認して後ほど回答する」と伝える
- 専門家のサポートを受ける
- 税理士や弁護士の助言を積極的に求める
- 必要に応じて調査への立ち会いを依頼する
- 結果を適切に処理する
- 指摘事項を真摯に受け止め、改善策を講じる
- 追徴税額がある場合は速やかに納付する
- 今後の税務処理に活かすため、結果を社内で共有する
まとめ
税務調査は経営者にとって避けて通れない可能性のあるプロセスです。
しかし、適切な準備と対応により、この経験を会社の財務管理や税務コンプライアンスの向上につなげることができます。
日頃から正確な記録管理と適切な申告を心がけ、税法の理解に努めることが重要です。
また、不明点や複雑な事案については、早めに税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
税務調査は決して恐れるべきものではなく、むしろ自社の財務状況を見直し、改善するチャンスとして捉えることができます。
この記事で紹介した対策を参考に、自信を持って税務に向き合い、健全な経営を続けていただければ幸いです。